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ひでみちゃんが来店してから5分くらい経ってから、俺はお店に入りました。 お店はそれほど大きくなくて、20人前後で宴会をやってしまうと、もう貸しきり状態になってしまうくらいのこじんまりしたものでした。 「おそい~~~!!!」 「ここ。ここ。」 俺・・。無事に家に帰れるのかな・・・。 「おー。ようやく来たか!」 その接し方は、息子に対するものでもあり。友達に対するものでもあり。俺にはとても心地のいい人でした。 「なに飲むんだ?ビールか?」 ほどなくして、生中が俺のもとに届き、 ゴト。 ゴトゴトゴト。 んぁ?乾杯でしょ? 「あれ~?なんでジョッキもってんだぁ?」 『はい♪な~んでもってんの~。な~んでもってんの♪」 ぐ・・。やられた・・・。 かけつけ三杯とは、まさにこれのこと。 「おし。よく飲んだ。」 「ったく。この減らず口が。」 「ひでみ~」 「今日の賭けなぁ」 「なしでいいわ。」 「お前ら、がんばってたしな。」 「飛び出した子供な。俺の妹の息子なんだわ。」 「妹がな。えらい感謝してた。」 「うん。あの子な。目に傷害があるらしい。」 「だからな。よく交わしてくれたって。涙流してたぞ。」 「そんなんだからよ。賭けはチャラ!」 ガォォォォオオオオ ん?この泣き声どっかで聞いた気がするな? 「納得いかねぇぇぇえ!」 「な、なんだよ!ひでみ!」 「ま、まぁ・・。そうなるか・・・な?」 『えええ?!?』 「・・・あはははは。わかったわかった!」 「ったく。ひでみにはかなわねぇや。」 「でもな。ひとつ条件がある!」 「あとで『ちゅ~』してくれ!!」 「いいよ♪どこがいい?♪」 「うん♪わかったぁ♪」 慰労会は飲めや、歌えやのドンちゃん騒ぎ。 「ひでみ~。俺今日がんばったよなぁ~?」 「んじゃぁ~。いいことしようぜぇ~」 俺といえばいくらか酔いもまわってきたので、外で涼もうと立とうとしたとき。 グイッ! 服の裾を思いっきり引っ張られました。 ん?なんだ? はい?俺なにかしましたっけ? 「どこいくの?」 「あんたいなくなったら、ここの席どうなると思う?」 「あっちにいる猛獣がわっさと押し寄せてくるのよ?」 「そうなったら、誰が私を守るの?」 「あんたしかいないでしょ?」 「みぃみとの事ばらされたい?」 おっさんたちの視線の痛いこと痛いこと。 こうして大怪獣との会話に華を咲かせながら、猛獣たちの熱視線を背中に浴びつつ、夜は更けていったのでした。
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