<お知らせ:本日はラブラブモードです>
「宴たけなわではございますが~」
おぶ君の〆で運動会の慰労会終了。
ようやく大怪獣から開放されます。
人というのはすごいもので、こんだけ緊張というか気を張った状態で酒を飲むと全くといって良いほど酔いが回りません。
当のひでみちゃんは完全にできあがってますけども。
「あひゃひゃひゃひゃ~♪」
なにもないのに笑っています。
幸せな人ですね。はい。
こうなってしまってはみぃみちゃんに電話することもできずに、
「あれ~?お迎えがきてな~~~い」
「だって連絡してないでしょ?」
当たり前ですよ?ひでみちゃん。
「は~や~く~れ~ん~ら~く~し~て~♪」
はいはい。もうめんどくせー。
トルルルルル。
トルルルルル。
『もしもし?』
「あ。俺だけどさ。お母さん酔っ払いまくってるからお迎えお願いしてもいいかな?」
『もうちょっと待っててもらってもいいですか?』
う~~ん。声だけってのもいいかもしんない。
『今お風呂上りなんで・・♪』
お風呂上り・・・。
想像力をかきたてられます。
飲み会のあとは、なぜか飲んだ店の前でダラダラすることが多く。
みぃみちゃんに電話してから到着まで20分弱かかったわりには外で話をしていたせいで、それほど気になるほどの時間でもありませんでした。
「おまたせしましたぁ♪」
笑顔最高。
お風呂上りの良い匂い。
「お母さん!なにやってんの!!」
「あぁ~♪みぃみだぁ♪なにしてんの?」
あなたが向かえ呼べっていったんじゃないですか・・・
「電話きたから迎えにきたのっ!」
「ん~?あたし電話してないよ~?」
「だってお母さんじゃないもんっ!」
「んじゃぁ誰が電話したのぉ~?」
ん・・。なんか・・・この人酔っ払ってないんじゃ・・・?
「それは・・・」
困るみぃみちゃん。
「誰誰ぇ~?♪」
「いいから帰るよっ!!!」
みぃみちゃんキレました。
「かえんないっ!」
「なにわがままいってんの!」
親子喧嘩ってゆうより姉妹喧嘩みたいにみえなくもない・・・。
「だって~。このあとカラオケいくもん♪」
あんだけ歌ってまだ歌うか・・。
「だから~。みぃみは彼送ってってあげて♪」
へ?
なにこれ?棚から牡丹餅状態?
「え・・・。別にいいけど・・・。お母さんは?」
「ん~~~。適当に帰るから♪」
うん。本当に適当に帰ってきそうです。
「んじゃぁ。俺だけ帰っちゃうよ?ひでみちゃん。」
「うん♪」
「あ。みぃみのことね。」
「ん?」
「優しくしてあげてね♪」
なにをだよ。
車に乗り込む俺とみぃみちゃん。
「それじゃお母さんお願いします。」
「はいよ。まかせとけ!」
まぁおぶ君がいれば平気だろうと、俺とみぃみちゃんは帰宅することに。
家に向かう車の中。
「今日はお疲れ様です。」
「本当につかれたよ。」
まじでクタクタです。大怪獣の相手は辛いわ・・
「お母さん・・・大変だったでしょ・・・?」
ええ。そりゃもう大変なんてもんじゃなかったですよ。
でもそんなことは娘さんに言えるはずもなく。
「ん。大丈夫だよ。酔っ払い、慣れてるしね。」
「ありがとうございます♪」
こっちが気を使ったのを見破られてしまった感がありました。
この子って本当に優しい子なんだな・・。
「そういえば」
「ん?どうかした?」
「お母さん。キスしませんでした・・・?」
ああ。されましたとも。濃厚なやつをね。
「うん・・・。まぁね。」
「・・・・やっぱり。」
ものすごく悲しそうです。
性格上、適当なことを言って笑わせるということに長けていたので、
「ん~。んじゃぁ送ってもらったお礼に~。」
「え?」
「みぃみちゃんにもちゅーしてあげるね♪」
完全なる冗談で言ったつもりでした。
『本当ですかぁ♪」
あら?本気にとっちゃった・・・?
しばらくしてみぃみちゃんの家につきました。
嫁の実家から歩いて3分くらいの場所であったため、みぃみちゃんの家から帰ることにしたのです。
「送ってくれてありがとう。」
「あ・・・・」
本当にキスを期待していたご様子。
俺としては安易にそんなことして傷つけることはしたくなかったのです。
「みぃみちゃん。」
「はい?」
「俺ね。前にみぃみちゃんがいってくれたことうれしかったんだよ?」
「私がいったこと・・・?」
「そう。"結婚してなきゃ出会わなかったんだ"って言葉」
「はい・・・」
「確かにそのとおりだよね。今までの何か一つでもかけてたりしたら、出会ってないかもしれない、。」
「結婚してなかったら、俺はみぃみちゃんに出会うことはなかったと思う」
「だから、結婚してよかったって初めて思えた。」
「はい・・・。」
複雑な表情のみぃみちゃん。
そして俺もずるいのです・・。
「俺は君を傷つけたくないから。その気持ちは分かってくれる?」
「・・・・」
「でもね。それを分かってるのなら、俺は君にしてあげれることいっぱいあると思う。」
「それが君にとって、いつかは辛く感じることがあるだろうし、やめたくなることもあると思う。」
「・・・」
「それでもいいっていえる?」
「・・・・はい。だって・・・好きなんだもん・・・・」
細く、しまった体を秋風にさらされて、小刻みに震わしています。
それをすっと抱き寄せる俺。
「あ・・・。」
少し驚くみぃみちゃん。
。
「俺さ。みぃみちゃん好きだよ?」
「・・・はい。」
「でも、ずっと一緒にってのはできない。」
「・・・・・」
「だけど。こんなんだけど、俺のできる限りだけどさ。」
「はい。」
「幸せにしたいって思ってもいいかな・・・?」
「・・・・・はい。」
二重で大きな瞳から、大粒の涙が零れ落ちました。
「ずっとこうしたかったんだよぉ・・」
「・・・・そっか」
その言葉を最後に二人は会話ができなくなりました。
それも何度も。何度も。
「ん・・・」
時折もれる彼女の吐息が、とても愛しく、そして切なく。
運動会のときとは打って変わった静けさの中で、お互いの心臓の音さえ聞こえるの距離のまま、二人の時間はゆったりと流れていきました。
夏が終わりを告げ、気持ちよさを通り越し、肌寒さを感じれるほど乾いた風が俺たちの横を通り過ぎていきました。
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