× [PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。 |
妻が分娩室に入ってからどれだけの時間が流れたのでしょう。 ただ、妻と子供の身を案じて。 「煙草でも吸いにいくか?」
「俺にとっては、まだまだ子供なんだけどなぁ。」 「おまえもな。心配してもしょうがない。男ならビッとしてろ。」 「女はすごいから。なんてったって自分で親になれるんだからな。」 「相手が誰であったとしても、女は自分で子供生むだろ?」 「うん。自分の腹からでてくるんだからな。」 「でも、男はそうもいかないよな?自分で生めないからな。」 「だから男は子供に親にしてもらうんだ。」 「自分から親になれるだけ強いんだよ。女はな。」 お義父さんがなにを言いたかったのか、本心の8割以上理解できない状況ではありましたが、それでもその言葉は心に染みました。 喫煙室から戻ってきた俺は、さっきと変わらず分娩室の入り口に立ちました。 「まだまだ時間かかるよ・・?」 「・・・わかっています。」 しかし、 「あいつが中でがんばってるんです。だから・・俺も外で立って待ちます。」 「なんの力にもなれてないですけど、それでも立って待ちます。」 こんなことしてても意味がないことだと、何の役にも立たないことだと、自分でも分かってはいながら。 また、どれくらいの時間が流れたのでしょう。 分娩室の中からかすかに聞こえてくる、先生と助産婦さんと妻のうめき声に似た声。 "がんばれ!"
オギャ~!! あ・・・ それは今まで聴いたことのない声でした。 「生まれた・・・・。」 しかし、次第にお義父さんたちの声が聞こえなくなりました。 オギャ~!オギャ~!! オギャ~!オギャ~!! オギャ~!オギャ~!! 涙が頬を伝います。 ・・・二人ともがんばったね。 よく生まれてきたね・・・。 生まれてきてくれてありがとう・・・。 忙しくなるなぁ・・ お前のために、お父さんがんばるからな・・・ これからよろしくな・・・。
俺も親父にしてもらうことができたのです。
~誕生~ 終わり ありがとうございました。
PR |
|
トラックバックURL
|
忍者ブログ [PR] |