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祭りのあとは、かなり寂しさが残るもので。
男同士の話で友情を語るタイミングなど、そうそうないものですから、さっきの飲み会でのゆうやとのちょっとした会話が、とても心に残っていました。 ゆうやはあまり自分のことを話すような男ではありませんでした。 お互いに恋愛相談なんてことはしたことがなく、それでいてなんとなく、お互いの気持ちが分かっているという、なんとも不思議な関係だったのです。 「ああ。違った。偉いだ。」 「そりゃそうだ。」 「なにが偉いって?」 「ん?それって偉くないだろ?」 「本当か・・・?」 「できたって聞いたときな。正直うれしかった。」 「でもな。お前は嫁さんの実家こっちだろ?」 「俺ら向こうじゃん?生むってなったらさ、もどんないといけない。」 「それにな。まだまだ経済力もねぇしな。実家帰ったとしても、親父の跡ついで漁師なるくらいだ。」 「だからな。同じ大学生だけど、お前は生ませてあげれて、俺はできなかった。」 「だからお前の覚悟とか、気持ちとか他のやつよりはわかるんだ・・。」 「俺も1回生ませたいって思って、覚悟決めようとしたからな・・。」 「うん。お前の言いたいことわかった。」 「でもな。今の話し聞いて、お前のほうが偉いと思う。」 「俺はな。簡単にいったら"かわいそう"って気持ちだけなんだ。」 「今この子が生まれなかったら、同じ子は生まれてこないんだって気持ちだけだった。」 「経済力だの、今後のことだの、一番考えなきゃいけないこと全然考えてなかった。」 「たしかに嫁の実家こっちだからな。それに甘えてるんだと思う。」 「でも俺はそれを他から"こいつ甘えてるな"って思われないようにがんばればいいって思ってる。」 「おろすって決断のほうがよっぽど辛い決断だと思うぞ?」 「それを彼女に伝えるのなんかもっとだ。」 「俺な。お前のほうが俺より何倍もすごいと思うぞ?」 「ありがとう・・・。」 「煙草・・吸うか?」 「そういや、この煙草も、俺がゆうやの真似したんだよな。」 「"この喉にクッってくるのがいいんだよ"とかわけわかんねぇこといってやがったしな。」 「最初は重くって全然すえなかったけど、今じゃこれじゃねぇとな。」 「やっぱ、煙草は重くってなんぼだろ?」 「ははは・・。当たり前だ。」
「この前な。ここに墓、つくってやってたんだ。」 川原の砂利のあるところの真ん中よりも、ちょっと土手よりに大きな岩が二つありまして、それの間にちょっとした石がおかれてありました。 「本当はな。この世に生ませてあげたかった・・・。」 「でも、それができなかったから・・。」 「少しでも太陽の日あびれて、少しでも空気のきれいなところで、少しでも自然に近いところで・・。」 「あの子に感じさせてやりたくって・・・。」 「んでな。1日1回はここで煙草吸うようにしてんだ・・・。」 「俺がお前の父ちゃんの匂いなんだぞってさ・・・・。」 「匂いなんか届くわけねぇのにな・・・・。」
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