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この手の話はどこまで聞いてもいいものなのか、それとも聞かないほうがいいことなのか、線引きが難しいものです。 「私ね。お父さん離婚してて。」 「私が4歳のときなんだけど。」 季節も秋。 「お父さんとお母さん仲悪かったんだぁ。」 「いつも喧嘩ばかりしてた記憶だけあって・・。」 「毎日お酒飲んで、それでお母さんのことぶったり。」 「私は娘ってこともあったんだろうけど、そんなにぶたれたりしなくて。」 「ある日ね、お父さんがお母さんに手あげたんだけど。」 「叩かれたときに倒れちゃって、その拍子に階段から弟、おちちゃって・・・」 「急いでお母さんが病院連れて行ったんだけど、脳内出血してて・・・」 「そのときお母さん。お腹の中に新しい赤ちゃんいてね。」 「私も、この子も、新しい命さえも殺されるかもしれないって思って逃げたんだって。」 「それでもね。それでも私にはたった一人のお父さんだった。」 「いくら喧嘩してても、お母さんと仲悪くても、それでも私のお父さんだった。」 涙をぬぐったみぃみちゃんは 「そう。煙草の煙で。」 「わっかできる・・?」 今までにしたことがないくらい優しく息を吸い込み。
「すごい・・・きれい・・・」 「はじめてあった時ね。」 「お父さんと同じ匂いがしたの。」 「好きになった人もお父さんと同じ匂いしてたの・・・。」 「でもね。でもね・・・。」 「その人結婚してるんだ・・・」 「でもね。結婚してなかったら出会ってなかったんだよ?」 「だけど・・・・だけど・・・」
「なんで他の人なの?」 「なんで私をおいていくの?」 「なんで迎えにきてくれなかったの・・・・・」
ただ彼女の言葉にならない、感情そのものを自分が呼び覚ましてしまったこと、今の自分にできることはなんなのだろうと。 運動会の汗が引いてきて、ちょっとだけ震えた俺に、そっと自分が掛けていたブランケットに入れてくれ、 「ずっとこうしていられたらいいのに・・・。」 風にかき消されそうなほど微かな声で。 それは、今までのどんな言葉よりも俺の中に染み込んでいってでも、実際にはそれができないことへの償いなのか、それとも単なる、男としての欲望であったのか、静かに彼女を腕の中に導きいれたのでした。 PR |
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