落胆の色を隠せないひでみちゃんと俺。
そこにヒデミンジャー。
「おいおい。どうしたぁ?」
「そうだよ。ひでみちゃん。」
「ひでみちゃんが元気ないと、つまんないよ」
俺はどうでもいいのね。
「あのさ・・・」
「ちゅーなんだけどさ・・・」
「うん。俺らがんばったじゃん・・?」
確かにがんばってはいました。
「それで俺らで相談してみたんだけどさ・・・」
俺らで相談?勝ったらのご褒美なんだから負けた時点でなしでしょうに。
「3人にっていわないからさ・・」
「この中の1人だけってくらいはさ・・」
本当に男ってばかですね。
「もう誰がされるかは決めてあるからさ・・」
へー。きまってるんだー。
「だめかな?」
ぶちっ
なんでしょうね?今の音。
何かが切れるような・・?
「うるせ~~~~!!!!!!!」
大怪獣ヒデミン誕生です。
そこらにあったリレー用のバスケットボールを手当たり次第に投げつけてます。
「うらぁぁぁぁあああああ!!!」
これキングギドラより強い。
歴代のどのヒーローが戦っても勝てないんじゃないでしょうか?
しかし、ここには我らがヒーロー、親父戦隊がいます。
”たすけてー。ヒデミンジャーーーー”
親父戦隊ヒデミンジャーVS大怪獣ヒデミン。
合体ロボを登場させる間もなく、あっという間に大怪獣の勝利でした。
ひでみちゃんの『ちゅー』どころか、ボールに顔面ちゅーされまくったヒデミンジャー。
ここまでされるとさすがにかわいそうとも思えますが、大怪獣はそんなことはお構いなし。
「いっぱい練習したのにさぁ!!」
『ごめん』
「あんなにがんばったのにぃ!!!」
『・・・ごめん』
大怪獣の雄たけびに親父戦隊はタジタジです。
「なんで?どうして??」
「ひでみちゃん・・・」
「そこまで勝ちたかったんだ・・・」
「本当にごめんな・・・」
そこまでの気持ちだったのかと、ヒデミンジャーがへこみかけたところ。
「焼肉~~・・・!!」
『あ?』
はい。ばれました。
実はというと、俺とひでみちゃんはママさんバレーを通じて知り合いになった部落の人たちと賭け事をしていました。
お金をかけるわけではなくて、この運動会が終わったあとで開かれる慰労会での
”食べられる焼肉の量”をです。
(お金じゃないから違法じゃないです。
いくらひでみちゃんと俺がいるといっても、他がヒデミンジャー。
その賭けに参加した誰もが決勝まで進むとすら思っていなかったのです。
ゆえに馬鹿な親父連中を本気にさせるための「ご褒美は『ちゅ~』」作戦なのでした。
まさかあそこまで気合がはいるとは思っていなかったのですが。
言った当人のひでみちゃんには悪びれる様子もなく。
「だって焼肉たべたいじゃん!!」
そうですね。
だからといって男心を弄ぶとは・・・。
魔性の女とはこの人のためにある言葉ではないかと思いました。
ん?まてよ・・・
この親ってことは、みぃみちゃんも・・・?
「あの子も魔性だからねぇ」
心までも読めるのですか・・・?
さすが魔性の女。
「だまらっしゃい!」
はい・・・。すいません。
「よろしい」
本当に会話がなりたっております。
→→→
「おしかったですねぇ・・?」
喫煙所で煙草を吸ってるところにみぃみちゃんです。
「うん・・」
煙草を消そうとする俺。
「あ。消さなくていいですよ。私煙草の匂い好きなんで。」
煙草のにおいが好きって女の子は初めてでした。
「そうなの?」
「はい。」
少しの沈黙のあとに。
「なんかお父さんの匂いみたいで好きなんです。」
みぃみちゃんはお父さんが好きなんだなぁくらいにしか思いませんでした。
「私、お父さんいないんで・・・」
え・・・
→~誕生~その11話へ
※もうメイポブログって肩書きやめるか・・・
本当にケータイ小説みたいになってきたorz
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