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次の日の朝。 「昨日何時くらいに帰ってきたの?」 「ん~・・あんまりよく覚えてない。」 しかし、実のところこの頃には、俺の気持ちは嫁には関心があまりありませんでした。 妊娠しているとはいえ、妊娠が分かり、一緒に暮らすようになってすでに9ヶ月。 え?みぃみちゃんはどうなんだって? 昨晩あんなことがあったにも関わらず、その後は別に連絡を取り合っていたわけでもなく、彼女には彼女の友達付き合いもあったでしょうし、高校がすこし遠いところにあったため、一人暮らしをしていたので、そこまで一緒にいる時間があったわけでもありません。 と。話を戻します。 毎日バイト三昧で、1ヶ月のお小遣いは1万円。 それでも、気持ちは離れつつあっても、『子供のため』と大義名分、バイトに勤しんでいました。 「ただいま~」 誰もいないのかな・・? 1階には誰もいませんでした。 おかしいな・・。今日は検診日じゃなかったはずだけど・・・? 「いないの~?」 「なんだ。いるんじゃん。」 返事がありません。 「どうしたん?」 相当怒ってるなー。 「俺なんかした?」 チョキチョキ。 チョキチョキチョキ。 そーっと、目の前に回ってみると。 「なにしてんの?!」 大きなカレンダーを日にちごとにきれいに切って、1日から31日まで並べておいていたのです。 「なぁ!なにしてんの?」 「うわぁぁあああ!」 これはまずい! 少し俺の胸の中でジタバタした後、我に戻ったのか 「これ・・・なんか切ってたよ・・?」 嫁の話によると、朝お義母さんからいらないカレンダーをもらったときに、『この日に妊娠わかったんだよね』という気持ちから、この1年をカレンダーを見ながら振り返っていたとのこと。 自分が妊娠して、だんだんお腹が大きくなって、外に出歩くことも、家の階段の上り下りすることさえも、だんだん辛くなっていっているのに、俺は毎日バイトいけて、大学にもいけて、帰ってきたらお義父さんと一緒にお酒のんで、煙草吸って。 「なんであんたは外にでれるの?!」 「なんであんただけお酒のめるの?!」 「なんであんただけタバコすえるの?!」 「なんであんただけ楽しそうなの?!」 「なんであんただけ・・・・」 そういって泣き崩れそうになる彼女を俺は抱きかかえました。 俺だって、別に遊んでるわけではなかった。 そうだとしても。 俺はなんて馬鹿なんだろう・・・。 妊娠の辛さは男には分かりません。 「ごめんな・・・。」 「わかってやれてなくてごめんな・・。」 「もっと私のことみてほしかったんだよ・・」 「仕事してくれるのはうれしいよ?」 「大学にもちゃんといってほしい。」 「でも・・。でも・・・。」 「1日に1回でいいから私の名前呼んでよ・・・」 深夜の3時くらいに帰宅したとき、たまたま彼女が起きてきたときの話ですが。 俺にも感じること他にあったにしても、そのときだけは。 「ちゃんと見る。ちゃんと話す。ちゃんと名前呼ぶから・・。」 そういって何かから開放されるかのごとく、彼女は眠りにつきました。
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<お知らせ:本日はラブラブモードです>
人というのはすごいもので、こんだけ緊張というか気を張った状態で酒を飲むと全くといって良いほど酔いが回りません。 「あひゃひゃひゃひゃ~♪」 こうなってしまってはみぃみちゃんに電話することもできずに、 「は~や~く~れ~ん~ら~く~し~て~♪」 トルルルルル。 『もしもし?』 『今お風呂上りなんで・・♪』
「おまたせしましたぁ♪」
「電話きたから迎えにきたのっ!」 「だってお母さんじゃないもんっ!」 「それは・・・」 「誰誰ぇ~?♪」 「かえんないっ!」 「だって~。このあとカラオケいくもん♪」 「だから~。みぃみは彼送ってってあげて♪」 「え・・・。別にいいけど・・・。お母さんは?」 「んじゃぁ。俺だけ帰っちゃうよ?ひでみちゃん。」 「あ。みぃみのことね。」 「優しくしてあげてね♪」
車に乗り込む俺とみぃみちゃん。 「それじゃお母さんお願いします。」
家に向かう車の中。 「お母さん・・・大変だったでしょ・・・?」 「ん。大丈夫だよ。酔っ払い、慣れてるしね。」 「そういえば」 「お母さん。キスしませんでした・・・?」 「うん・・・。まぁね。」 性格上、適当なことを言って笑わせるということに長けていたので、 『本当ですかぁ♪」
しばらくしてみぃみちゃんの家につきました。 「送ってくれてありがとう。」 「みぃみちゃん。」 「俺ね。前にみぃみちゃんがいってくれたことうれしかったんだよ?」 「そう。"結婚してなきゃ出会わなかったんだ"って言葉」 「確かにそのとおりだよね。今までの何か一つでもかけてたりしたら、出会ってないかもしれない、。」 「結婚してなかったら、俺はみぃみちゃんに出会うことはなかったと思う」 「だから、結婚してよかったって初めて思えた。」 「俺は君を傷つけたくないから。その気持ちは分かってくれる?」 「でもね。それを分かってるのなら、俺は君にしてあげれることいっぱいあると思う。」 「それが君にとって、いつかは辛く感じることがあるだろうし、やめたくなることもあると思う。」 「それでもいいっていえる?」 「あ・・・。」 「でも、ずっと一緒にってのはできない。」 「だけど。こんなんだけど、俺のできる限りだけどさ。」 「幸せにしたいって思ってもいいかな・・・?」 「ずっとこうしたかったんだよぉ・・」 その言葉を最後に二人は会話ができなくなりました。 それも何度も。何度も。 夏が終わりを告げ、気持ちよさを通り越し、肌寒さを感じれるほど乾いた風が俺たちの横を通り過ぎていきました。 |
その後も大怪獣の勢いは止まることを知らずに。 「あははははは」だの。 その都度、隣にいる俺は抱きつかれたり、ひっぱたかれたり、ほっぺにちゅーされたりと、もうさすがにうんざりしておりました。 「ん~~?私の言うことが聞けないの~?」 「あのこといっちゃおっかな~♪」 そんな光景をうらやましそうに、そして俺に対して殺意にも似た感情で、後ろではおっさんたちが見ておりまして。 そんな折。 うわー。おぶ君までできあがっちゃってるよ。 その焼肉屋にはなぜかカラオケがありまして、宴会などで使用されていたみたいです。 「最初は○○さんのメリージェーン!!!」 曲が始まりかけたときです。 ガタ。 ガタガタ。 ん?なんで? すると、隣同士で抱き合って、チークダンスみたいになっております。 ぐいっ いて。 襟を誰かに引っ張られます。 犯人は、ひでみちゃん。 「早くたって!」 「俺踊ったことないからさ・・・。」 「んじゃ、俺と踊ろう!」 「本当に言われたいみたいだね~?」 やったこともないチークダンス開始です。
普通、こんなん焼肉屋にねーよ。 この人達好みの店作りさせられてるのか・・・。 心配して損しました。 あんだけいきり立ってたおっさん達も近くにいる、おばちゃん連中で妥協したらしく。 「みぃみとちゅーしたの?」 「しっ!」 「なんで~?してもいいんだよ~?」 「そんなの関係ないじゃん~」 「そっか~。してなかったんだ~」 「んぢゃ、あたしが先にしちゃお♪」
「さぁて。次は誰が歌う~?」 ふぅ・・。よかった。 誰かに見られていたら、それこそ事件です。 「これで秘密2つ目~♪」 あぁ。神様。
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ひでみちゃんが来店してから5分くらい経ってから、俺はお店に入りました。 お店はそれほど大きくなくて、20人前後で宴会をやってしまうと、もう貸しきり状態になってしまうくらいのこじんまりしたものでした。 「おそい~~~!!!」 「ここ。ここ。」 俺・・。無事に家に帰れるのかな・・・。 「おー。ようやく来たか!」 その接し方は、息子に対するものでもあり。友達に対するものでもあり。俺にはとても心地のいい人でした。 「なに飲むんだ?ビールか?」 ほどなくして、生中が俺のもとに届き、 ゴト。 ゴトゴトゴト。 んぁ?乾杯でしょ? 「あれ~?なんでジョッキもってんだぁ?」 『はい♪な~んでもってんの~。な~んでもってんの♪」 ぐ・・。やられた・・・。 かけつけ三杯とは、まさにこれのこと。 「おし。よく飲んだ。」 「ったく。この減らず口が。」 「ひでみ~」 「今日の賭けなぁ」 「なしでいいわ。」 「お前ら、がんばってたしな。」 「飛び出した子供な。俺の妹の息子なんだわ。」 「妹がな。えらい感謝してた。」 「うん。あの子な。目に傷害があるらしい。」 「だからな。よく交わしてくれたって。涙流してたぞ。」 「そんなんだからよ。賭けはチャラ!」 ガォォォォオオオオ ん?この泣き声どっかで聞いた気がするな? 「納得いかねぇぇぇえ!」 「な、なんだよ!ひでみ!」 「ま、まぁ・・。そうなるか・・・な?」 『えええ?!?』 「・・・あはははは。わかったわかった!」 「ったく。ひでみにはかなわねぇや。」 「でもな。ひとつ条件がある!」 「あとで『ちゅ~』してくれ!!」 「いいよ♪どこがいい?♪」 「うん♪わかったぁ♪」 慰労会は飲めや、歌えやのドンちゃん騒ぎ。 「ひでみ~。俺今日がんばったよなぁ~?」 「んじゃぁ~。いいことしようぜぇ~」 俺といえばいくらか酔いもまわってきたので、外で涼もうと立とうとしたとき。 グイッ! 服の裾を思いっきり引っ張られました。 ん?なんだ? はい?俺なにかしましたっけ? 「どこいくの?」 「あんたいなくなったら、ここの席どうなると思う?」 「あっちにいる猛獣がわっさと押し寄せてくるのよ?」 「そうなったら、誰が私を守るの?」 「あんたしかいないでしょ?」 「みぃみとの事ばらされたい?」 おっさんたちの視線の痛いこと痛いこと。 こうして大怪獣との会話に華を咲かせながら、猛獣たちの熱視線を背中に浴びつつ、夜は更けていったのでした。
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焼肉屋に向かう車の中。 30分ほどして、焼肉屋に到着。 「ちょっと先いってるねー♪」 「あ。二人っきりだからって~」 「うふ♪息ピッタリ。お似合いよ~♪」 やられた・・・。 でも、自然と嫌な気持ちではない俺なのです。 「あの~・・・」 「大丈夫だよ。気にしてないから。」 「なんか抱き合ってたの、お母さん見てたらしくって・・・。」 一番見られたくない人に・・・。 凹み気味で車を降りる俺。 「あれ?みぃみちゃんこないの?」 「ちょっと用事が・・・。」 「もしかして彼氏とか?」 でもすぐに納得できます。だってこの子かわいいもん。 「そっか。んじゃ彼氏またせるの悪いから、はやくいってあげな。」 「・・・・はい。」 「あ。そうだ。」 「お母さん酔っ払うと大変なんで・・・。」 「なんか暴れるとか。」 「なぐりつけてくるとか。」 「キス魔になるとか。」 「その他もろもろあるんで・・・」 「がんばってくださいね♪」 「また私迎えに来ますから、終わったらこの番号に電話してください♪」 これは思いがけない収穫です。 そんなことねーよ。とか、 意気揚々と焼肉屋へ向かう俺なのでした。 |
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