× [PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。 |
そんなこんなで秋の町民運動会は終了を向かえ、この後の慰労会のために一旦家に戻ることになりました。 以外に白熱したおかげで汗でぐだぐだ。 シャー なんでこうスポーツのあとのシャワーって気持ちがいいんでしょう。 トゥルルルル 家の電話が鳴っているのが聞こえました。 誰からだろう。まぁ俺には関係ないか。 シャワーを浴び続ける俺。 「ひでみちゃんから電話よー。」 「今日の慰労会は、T町の焼肉屋でやるから。」 すっかり忘れてました。 「あー・・そうだったね。」 ガチャ。ツーツーツー。 こっちの意見は無しですね・・。 「どっかいくの?」 「あぁ。運動会の慰労会だって。」 「無理に町の行事参加しなくてもいいんだよ?」 俺が風呂を出てから1時間程度経ったのでしょうか。 「おまたせ~♪」 「んじゃ、いってくるね。」 車は発進し、T町の焼肉屋に向かいます。 「今日はお疲れ様♪」 「お疲れ様です~」 と、後部座席から前を覗き込むと。 「あれ?免許持ってたの?」 「んんー?なんか二人仲良くなってない?」 「な、な、なにいってんの!?」 「んんん~~~?」 「ま、いっか~♪」 「なんかしてたら、してたで~」 「ちゃんと嫁にもらってくれればいいや~♪」 「ひでみちゃん?!」 「ま、私をもらってくれてもいいけどね~♪」 PR |
この手の話はどこまで聞いてもいいものなのか、それとも聞かないほうがいいことなのか、線引きが難しいものです。 「私ね。お父さん離婚してて。」 「私が4歳のときなんだけど。」 季節も秋。 「お父さんとお母さん仲悪かったんだぁ。」 「いつも喧嘩ばかりしてた記憶だけあって・・。」 「毎日お酒飲んで、それでお母さんのことぶったり。」 「私は娘ってこともあったんだろうけど、そんなにぶたれたりしなくて。」 「ある日ね、お父さんがお母さんに手あげたんだけど。」 「叩かれたときに倒れちゃって、その拍子に階段から弟、おちちゃって・・・」 「急いでお母さんが病院連れて行ったんだけど、脳内出血してて・・・」 「そのときお母さん。お腹の中に新しい赤ちゃんいてね。」 「私も、この子も、新しい命さえも殺されるかもしれないって思って逃げたんだって。」 「それでもね。それでも私にはたった一人のお父さんだった。」 「いくら喧嘩してても、お母さんと仲悪くても、それでも私のお父さんだった。」 涙をぬぐったみぃみちゃんは 「そう。煙草の煙で。」 「わっかできる・・?」 今までにしたことがないくらい優しく息を吸い込み。
「すごい・・・きれい・・・」 「はじめてあった時ね。」 「お父さんと同じ匂いがしたの。」 「好きになった人もお父さんと同じ匂いしてたの・・・。」 「でもね。でもね・・・。」 「その人結婚してるんだ・・・」 「でもね。結婚してなかったら出会ってなかったんだよ?」 「だけど・・・・だけど・・・」
「なんで他の人なの?」 「なんで私をおいていくの?」 「なんで迎えにきてくれなかったの・・・・・」
ただ彼女の言葉にならない、感情そのものを自分が呼び覚ましてしまったこと、今の自分にできることはなんなのだろうと。 運動会の汗が引いてきて、ちょっとだけ震えた俺に、そっと自分が掛けていたブランケットに入れてくれ、 「ずっとこうしていられたらいいのに・・・。」 風にかき消されそうなほど微かな声で。 それは、今までのどんな言葉よりも俺の中に染み込んでいってでも、実際にはそれができないことへの償いなのか、それとも単なる、男としての欲望であったのか、静かに彼女を腕の中に導きいれたのでした。 |
落胆の色を隠せないひでみちゃんと俺。 そこにヒデミンジャー。 「あのさ・・・」 「それで俺らで相談してみたんだけどさ・・・」 「3人にっていわないからさ・・」 「もう誰がされるかは決めてあるからさ・・」 「だめかな?」 ぶちっ 「うるせ~~~~!!!!!!!」 「うらぁぁぁぁあああああ!!!」 しかし、ここには我らがヒーロー、親父戦隊がいます。 ”たすけてー。ヒデミンジャーーーー” 親父戦隊ヒデミンジャーVS大怪獣ヒデミン。 合体ロボを登場させる間もなく、あっという間に大怪獣の勝利でした。 「いっぱい練習したのにさぁ!!」 「なんで?どうして??」 「焼肉~~・・・!!」 実はというと、俺とひでみちゃんはママさんバレーを通じて知り合いになった部落の人たちと賭け事をしていました。 いくらひでみちゃんと俺がいるといっても、他がヒデミンジャー。 「だって焼肉たべたいじゃん!!」 ん?まてよ・・・ 「あの子も魔性だからねぇ」 「だまらっしゃい!」 「よろしい」
「おしかったですねぇ・・?」 「うん・・」 「あ。消さなくていいですよ。私煙草の匂い好きなんで。」 「そうなの?」 「なんかお父さんの匂いみたいで好きなんです。」 「私、お父さんいないんで・・・」 |
ボールを受け取り、初めて本気でレースに挑む俺。 「先にはいかせねぇよ!」 おまえなんかにかまってる暇なんかない! 「おい」 「あっ!」 足の速さなら完全に俺に分があるため、並ばれてしまってはもう後の祭り。 残すは1位のDチーム。グラウンド半周が過ぎた時点でまだ半周差。 しかしDチームもよくよく見るとそんなに早くない。 走りながらわかったことですが、Dチームは第3走者までが早いだけでアンカーは並。 これならいける・・・か?! ボールをもって3歩以上歩かないようにと、細心の注意をはらいながら。 前の選手を見ると追いかけたい願望がでてくるため、極力前は見ないで、ボールと足元の石に目線をやりながら。 歓声が鳴り響きます。 でもそのとき俺にはその歓声が一瞬やんだように思えました。 ”がんばれーーー!” 歓声のせいで聞こえるはずもなく、唇を読んだわけでもなく、 俺は右手ドリブルを左手ドリブルに切り替えて 傍から見たら気合入れたようにも見えるのですが、俺からみぃみちゃんへの無言のメッセージでした。 そしてそれは俺をさらに奮い立たせるのに十分だったのです。 気合を入れなおした俺にとって、それはないものに等しかったのです。 俺をどうにか前にいかせないようにと、体を左右に振りながらドリブルをしています。 真後ろにはすぐにつけたものの、いよいよ抜かすとなると困難でした。 やばい。前にでれない・・・! そのときです。 溢れる歓声。 ゴールまで3m。 残り1m。 勝った!!! そう思ったときです。 え?ボール? 振り返るとDチームの走者が誤って足でボールをけってしまったようです。 しかし、レースというのはテープを最初に切ったものが優勝です。 まずい!! 最後の力をしぼって踏み出した1足とボールがテープを切った瞬間 ばんっ! スタート銃の音がなりました。 歓声が一瞬で鳴り止みます。 どっちだ・・・
「なんでだよっ!」 「ふざけんなっ!!!」 「こっちのほうが早かったじゃん!」
「いや・・あれはしょうがないですよ」 「うんうん」 「子供に怪我させなかっただけよしとしないとね」 俺たちがグラウンドをあとにして、自分達のテントに戻ろうとしたときです。
”すごかったぞ~~~!!” ”おつかれさま~~~!!!!” ”おしかったなぁ~~!!!”
チームのまとめ役、活力になって先頭を切ったひでみちゃん。 そのすべてがレースを通じて、会場につたわっていたのです。 拍手と歓声の波に飲み込まれる俺ら。 あと一歩届かなかった・・・ 俺の横でひでみちゃんは泣いています。 「大丈夫?」 「うん。でも・・・」 「6.0倍が・・・・・・。わ~~~ん」 そっち?
|
さすがのOS3?ヒデミンジャー?も決勝戦ともなると緊張するようで。 「勝てるかな~・・」 それもそのはず。いくら気合が入っていたからといっても、皆さん4,50代。 「2人でなんとかするしかないわね・・・」 本心はさておいて、 「『ちゅ~』は・・・」 『がんばりますっっ!!!』 まさに”目の前ににんじんをつりさげられた馬”状態。
いよいよ決勝戦がはじまります。 Aチームはガタイがよく、平均年齢も34,5歳。スピードはなさそうですが前に入られたらうるさそう。 Bチームは100m走で優勝した選手がはいっています。なにがなくとも早い早い。 Cチームは俺たちです。平均年齢は俺のせいでそこまで高くないのですが、体力に難あり。 Dチームは優勝候補No.1。平均年齢28歳と若さ爆発。 決して賭け事をしていたわけではありませんが、倍率は 「6.0か・・・まぁまぁね」 「う~~ん・・まぁ1週間分くらいじゃない?」 『?』 俺のこの燃えようにヒデミンジャーはきょとん。 「あ・・みなさん!あと1回で優勝ですよっ!」 「ちゅ~はいいんですか?」
”只今からドリブルリレー決勝戦を行います。” ”位置について。よ~~~~い” 一番にカーブに飛び込んだのは、我らがひでみちゃん。 レッドにボールが渡ったときでした。 離れているため、はっきりわからなかったのです。 その間にレッドはDチームに抜かれて2位に後退。 と、同時にひでみちゃんが戻ってきました。 「なにこれ?」 「走ってるとき髪が邪魔そうだからって。」 さっきレッドの後ろに見えていた女性はみぃみちゃんだったのでした。 彼女の優しさが心にしみていたころ、レースといえば。 ホワイトからブルーにボールが渡ったときでした。 ピピピーーーー まさか・・・ 「青パス範囲っ!!」 よかった・・・うちじゃない・・・ しかしこれでBチーム失格です。 わぁぁぁー!!! 歓声が上がります。悲鳴交じりの。 いけブルー!ぬかせブルー!! 「うおぉぉぉぉぉおおおお!」 これならいける! 『ぱぱ~!!!』 ちっちゃな男の子がレースに乱入してきたのです。 「あぶないっ!!!」 悲鳴があります。 先頭を走っていたランナーのお子さんらしく、パパが元気に走っている姿が確認すると同時に、自分のテントに向かってかけていっていました。 よかった・・・怪我なくて。 ほっと安堵したのもつかの間、今度はAチームに抜かれてしまいました。 でも、まだ負けが決まったわけじゃない。 みぃみちゃんが渡してくれた髪とめで前髪をちょんまげにして、気合を入れなおします。 「俺がなんとかするから」 「ごめんな。本当にごめんな。」 「おつかれっす!あとは俺がなんとかしますっ!!」 そのとき1位とはグラウンド半周近くも離れていたのでした。 |
忍者ブログ [PR] |